◆ 通い妻 03 の間 ◆
2009年12月14日 (月)
すっかり酔っ払った高耶を、直江は自分のベッドへと横たえた。
けれど、高耶の腕が首に巻きついてきて身体を離せない。
「駄目ですよ。長秀たちにみつかります」
「オレはべつにいいぜ」
呂律がかなり怪しい。
「酔ってるからそう思うだけですよ」
高耶の腕を外すと、前髪を掻き揚げて額に口付ける。
「おやすみなさい」
聞こえているのかいないのか、気持ち良さそうに目を閉じている高耶に、直江は布団をかけてやって部屋を出た。
けれど、高耶の腕が首に巻きついてきて身体を離せない。
「駄目ですよ。長秀たちにみつかります」
「オレはべつにいいぜ」
呂律がかなり怪しい。
「酔ってるからそう思うだけですよ」
高耶の腕を外すと、前髪を掻き揚げて額に口付ける。
「おやすみなさい」
聞こえているのかいないのか、気持ち良さそうに目を閉じている高耶に、直江は布団をかけてやって部屋を出た。
PR
◆ 通い妻 03 ◆
2009年12月13日 (日)
心もち早めに仕事を切り上げた直江が帰宅してみると、リビングでは何故か宴会が催されていた。
「おう!直江ぇ!帰ったかぁっ!」
「おっかえりぃ~~~っ!」
「お前ら……」
こぼれた酒やら割れたコップやらで大惨事となっている中、ふたりに酔い潰されたらしい高耶はソファでぐっすりと寝込んでいる。
まとわりつくふたりを振り払いながら高耶を抱き上げて寝室まで連れて行った直江は、程なくして戻ってきた。
「なおえなおえ!お酒がたりないよ~~っ」
「ご自慢のゴールドカードでたっかい酒でも買って来いっ」
このままふたりの相手を続けるより、さっさと酔わせて眠らせたほうが得だと考えたらしい。
直江は大きなため息を残して、買出しに出発した。
「……で、どう思う?」
直江が出て行って、ふたりは赤らんだ顔ながらも真顔に戻る。
「月イチ以上で来てんのは間違いねえだろ」
目の前ですでに空になってしまった皿に盛られていた料理は景虎が作ったもので、
量はきっちりふたりぶんだった。あやしすぎる。
「ま、口は割らねーだろうけどな」
寝室と玄関を交互にみやって、千秋は人差し指で少しずれた眼鏡を定位置へと戻した。
「おう!直江ぇ!帰ったかぁっ!」
「おっかえりぃ~~~っ!」
「お前ら……」
こぼれた酒やら割れたコップやらで大惨事となっている中、ふたりに酔い潰されたらしい高耶はソファでぐっすりと寝込んでいる。
まとわりつくふたりを振り払いながら高耶を抱き上げて寝室まで連れて行った直江は、程なくして戻ってきた。
「なおえなおえ!お酒がたりないよ~~っ」
「ご自慢のゴールドカードでたっかい酒でも買って来いっ」
このままふたりの相手を続けるより、さっさと酔わせて眠らせたほうが得だと考えたらしい。
直江は大きなため息を残して、買出しに出発した。
「……で、どう思う?」
直江が出て行って、ふたりは赤らんだ顔ながらも真顔に戻る。
「月イチ以上で来てんのは間違いねえだろ」
目の前ですでに空になってしまった皿に盛られていた料理は景虎が作ったもので、
量はきっちりふたりぶんだった。あやしすぎる。
「ま、口は割らねーだろうけどな」
寝室と玄関を交互にみやって、千秋は人差し指で少しずれた眼鏡を定位置へと戻した。
◆ 通い妻 02 ◆
2009年12月12日 (土)
買い物袋を提げた高耶は、げっと顔を引き攣らせた。
「よう、景虎」
「あら、奇遇ね♪」
「………なにやってんだよ、ふたりして」
直江の部屋にふたりがいるとは予想だにしていなかったであろう高耶は、明らかに不審そうだ。
「直江んとこ泊めてもらおうと思ったら、偶然、晴家もだっていうからさ」
「じゃあ、たまにはふたりで呑もっかって」
テーブルの上にはすでにワンカップの空き瓶がいくつか転がっている。
結託するふたりに、絶対何かある、と高耶は疑いの視線を送った。
「何買ってきたのよ」
「夕飯の材料」
「えっ、直江に作ってあげてるのっ?!」
「自分で食うためだよ。外食なんかしてたら食費がかさんでしょうがない」
「旦那がいくらでも金出すだろーに」
「なるべく借りは作りたくねーから」
今更?と首を傾げる綾子の隣から、千秋は更につっこむ。
「で?ただ飯を食いにきたわけじゃねえんだろ。何しに来たんだよ」
「軒猿の集めた情報、全部ココにくるようになってんだろ。月イチくらいでは来てるぜ?」
「ふうん……」
「月イチねえ……」
ふたりの疑わしげな視線を背中に浴びつつ、
「おまえらも、食うだろ」
と、自前のエプロンをして台所に立つ高耶の手つきは、とても手馴れている。
「よう、景虎」
「あら、奇遇ね♪」
「………なにやってんだよ、ふたりして」
直江の部屋にふたりがいるとは予想だにしていなかったであろう高耶は、明らかに不審そうだ。
「直江んとこ泊めてもらおうと思ったら、偶然、晴家もだっていうからさ」
「じゃあ、たまにはふたりで呑もっかって」
テーブルの上にはすでにワンカップの空き瓶がいくつか転がっている。
結託するふたりに、絶対何かある、と高耶は疑いの視線を送った。
「何買ってきたのよ」
「夕飯の材料」
「えっ、直江に作ってあげてるのっ?!」
「自分で食うためだよ。外食なんかしてたら食費がかさんでしょうがない」
「旦那がいくらでも金出すだろーに」
「なるべく借りは作りたくねーから」
今更?と首を傾げる綾子の隣から、千秋は更につっこむ。
「で?ただ飯を食いにきたわけじゃねえんだろ。何しに来たんだよ」
「軒猿の集めた情報、全部ココにくるようになってんだろ。月イチくらいでは来てるぜ?」
「ふうん……」
「月イチねえ……」
ふたりの疑わしげな視線を背中に浴びつつ、
「おまえらも、食うだろ」
と、自前のエプロンをして台所に立つ高耶の手つきは、とても手馴れている。
◆ 通い妻 01 ◆
2009年12月11日 (金)
斯波英士こと織田信長の《闇戦国》戦線離脱、音楽活動専念の噂からおよそ半年。
《闇戦国》は早くも沈静化の兆しを見せており、噂は周知の事実として広まりつつあった。
夜叉衆の面々も以前ほどの忙しさはなくなり、それぞれ私生活を楽しむ余裕も生まれてきている。
「通い妻?」
久しぶりに会った綾子を、千秋は疑わしげに見やった。
「らしいわよ」
「まさか」
あの景虎が?あの直江の元に?
景虎のほうは相変わらず松本で高校生をやっているが、直江は橘不動産の本格的な東京進出に伴って、現在は東京で独り暮らしをしている。
「ついこないだ泊まった時はそんな感じなかったぜ」
東京という場所柄、直江のマンションはすっかり夜叉衆の定宿と化していて、女すら連れ込めないでいるようだったのに。
「美弥ちゃんが東京に彼女が出来たのかもしれない、って言ってたの。週末になると泊りがけで出かけるらしいのよ」
「それが直江んとこだっていうのか」
「他にどこがあんのよ」
「………」
こうなったら、確かめてみるしかない。
《闇戦国》は早くも沈静化の兆しを見せており、噂は周知の事実として広まりつつあった。
夜叉衆の面々も以前ほどの忙しさはなくなり、それぞれ私生活を楽しむ余裕も生まれてきている。
「通い妻?」
久しぶりに会った綾子を、千秋は疑わしげに見やった。
「らしいわよ」
「まさか」
あの景虎が?あの直江の元に?
景虎のほうは相変わらず松本で高校生をやっているが、直江は橘不動産の本格的な東京進出に伴って、現在は東京で独り暮らしをしている。
「ついこないだ泊まった時はそんな感じなかったぜ」
東京という場所柄、直江のマンションはすっかり夜叉衆の定宿と化していて、女すら連れ込めないでいるようだったのに。
「美弥ちゃんが東京に彼女が出来たのかもしれない、って言ってたの。週末になると泊りがけで出かけるらしいのよ」
「それが直江んとこだっていうのか」
「他にどこがあんのよ」
「………」
こうなったら、確かめてみるしかない。
10≪ | 2024/11 | ≫12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
∥ 最新話 ∥
◆
ホワイトデー その5
◆
03月14日(日 )
◆
ホワイトデー その4
◆
03月14日(日 )
◆
ホワイトデー その3
◆
03月13日(土 )
◆
ホワイトデー その2
◆
03月13日(土 )
◆
ホワイトデー その1
◆
03月12日(金 )
◆
バレンタイン その5
◆
02月14日(日 )
◆
バレンタイン その4
◆
02月14日(日 )
◆
バレンタイン その3
◆
02月13日(土 )
◆
バレンタイン その2
◆
02月13日(土 )
◆
バレンタイン その1
◆
02月12日(金 )