忍者ブログ



◆ [PR] ◆  2024年11月27日 (水)

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。







『 バレンタイン その5 』≪≪    ≫≫『 バレンタイン その3 』

◆ バレンタイン その4 ◆  2010年02月14日 (日)

 土曜日。
 直江が帰宅するとすでに夕飯の準備を終えていた高耶から、はい、とチョコを渡された。
 おっ、と思った直江だったが、
「美弥から」
と言われてあからさまにがっくりきてしまう。
 まあでも高耶のことだ。あまり期待しても、とは思っていた。
 だから気を取り直して、
「……じゃあ、これは美弥さんに」
と、帰りがけに購入してきた某有名店の袋を渡す。
 今年はチョコレートではなく、マカロンにしてみた。
「いつもわりーな」
 続けて直江は、リビングのサイドボードの奥から、隠しておいた包みを取り出す。
「これはあなたに」
 高耶は特に甘いものが好きという訳でもないし、お菓子ををもらったところで大して嬉しくもないことを直江はわかっていたから、今回は別のものを用意しておいたのだ。
「すげえ……!」
 それは鉄道模型製作が趣味の知り合いに作ってもらった、本格的なGSX250Rのオリジナルのミニチュアだった。
 高耶のバイクの写真を渡して、同じ仕様にしてもらうという凝りようだ。
 それを高耶が思いのほか喜んでくれたから、まあそれだけもよしとしよう、と思っていたら………。


 風呂からあがって、何故か高耶は寝巻きのTシャツを着るのを躊躇っていた。
「風邪ひきますよ」
「んー……」
 しばらくそれを手に難しい顔をしていた高耶は、やがて意を決したように袖を通した。
「?」
 不審に思った直江が覗き込んでみると、茶色いTシャツのその胸にはかわいらしいロゴが入っている。
  『I'm chocolate!』
 直江は思わず吹き出した。
「やっぱねーさんなんかに相談したのが間違いだった!」
 笑う直江を前にして、高耶は顔を赤くしてプリプリと怒っている。
「晴家に?」
「ほかにいなかったんだよっ」
 もちろん相手が直江だとは言わずに相談してみたのだが、バレバレだったらしくこんなものを送りつけてきたのだ。これを着れば、間違いなく喜んでもらえるから、と。
「あなたというひとは……本当に可愛いらしいひとですね」
 どうしても笑いが抑えられなくて、肩が揺れてしまう。
「うれしくねーよっ」
「じゃあ、なんと言えば嬉しいですか?」
 直江が思いつく限りの賛辞を並べ始めたから、高耶はもういい!と睨みつけた。
「で!?食うのか!?食わないのか!?」
 シャツの裾を持って、文字を見せつけてくる。
「もちろん、頂きます」
 直江は上がらない目尻のまま、そう答えた。
PR






『 バレンタイン その5 』≪≪    ≫≫『 バレンタイン その3 』


いつもありがとうございます!
 10≪  2024/11  ≫12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


∥  最新話  ∥
03月14日(日 )

03月14日(日 )

03月13日(土 )

03月13日(土 )

03月12日(金 )

02月14日(日 )

02月14日(日 )

02月13日(土 )

02月13日(土 )

02月12日(金 )

        










 忍者ブログ [PR]