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◆ 午前 02 ◆  2009年12月28日 (月)

 とある週末の午前中。
「すげえじゃん」
 お昼近くになってやっと起きてきた高耶を待っていたのは、直江の手料理だった。
 焼き魚に味噌汁、白いご飯。
 高耶の朝食を真似たものだ。
「食おうぜ」
 すぐに席に着こうとした高耶を、直江が引っ張って無理やり振り向かせた。
「ご褒美は?」
「………はぁ?」
 高耶は直江の顔を見つめかえした。
 純粋な期待に満ちた、鳶色の瞳。
 じっと見つめていると、よく動く大きな耳や、ちぎれんばかりに振りまくる尻尾の幻影がみえてくる。
「まるで犬だな」
 ため息とともにそう漏らすと、
「………わん?」
 直江は小首をかしげてそうのたまった。
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◆ 料理 02 ◆  2009年12月27日 (日)

「これからはあなたの手料理が味わえなくなるんですね」
 先程から、初めての料理の味を褒めてやってもあまり嬉しそうじゃなかったのは、そんなことを考えていたかららしい。
「別にこれから先、オレが料理を作らないって話じゃない」
「………じゃあ?」
「オレがいないときにも、ちゃんとしたもんを食えって言ってんだよ」
 きょとんとしていた直江は、すぐに安心したような顔で笑った。
「わかりました。心がけます」
 ゲンキンなヤツだ。
 早速、もうひとつの鍋の煮物の味見を催促してくる。
「こっちはどうですか」
「………うまい」
 極めれば自分なんかよりよっぽど上手く作るんだろうに、と高耶は思った。


◆ 料理 01 ◆  2009年12月26日 (土)

「そうそう、んで味噌をいれる」
 自分がいない時でもせめて朝食くらいは作れるようにと、高耶は直江に簡単な料理を教えることにした。
「どうです」
 味見を求める直江に応じて、高耶はおたまで一口すする。
「うまい」
「でしょう」
 直江は当然、といった顔で頷いている。
 高耶の好みのポイントをつく絶妙な塩加減。
 料理が出来ない訳ではなく、必要が無いから(面倒臭いから)やらないだけだ、という直江の言い訳は本当らしかった。


◆ クリスマス 03 ◆  2009年12月25日 (金)

 自分の身体の一部分が愛しい存在に眼も眩むような快楽を与える。
 そんな奇跡は聖夜にこそ相応しい。
 直江にしてみれば、自分の行為に高耶が応えてくれるというだけで感動ものなのだが、彼が自分に快楽を与えようとする様は、まさしく罪人にも惜しみなく愛を与えるかの聖人そのものに見えた。
 直江の腹の上に跨って、直江自身をあますところなくのみ込んだ高耶の身体は、先程から小さく震えている。
 彼はそのしなやかな身体を上下させて、直江を悦ばせようとしてくれているのだ。
 しかし、すでに三度も達している身体では、思うように力が入らない。
 腰を必死に持ち上げようとしても、手足が言うことをきかないから中々うまくいかない。
 それでじれったくなったらしい。
 直江の首筋にしがみついて、額を擦り付けてきた。
「……なおえ……っ」
「………どうしたの?」
 顔をあげさせて求めた口づけは、柔らかくて甘い。
 熟れた果物のようだ。
 すぐに離れてしまった唇が名残惜しくて追おうとすると、黒く濡れた瞳が熱っぽく直江を見下ろしてきた。
「……うごけ……よ……っ」
 "神の子"に乞われて、応じずにいられる人間などいない。
 気がつくと、我を忘れて腰を振っていた。
「あッ……アアアッ……」
 絡み合う視線も、互いの肌にかかる吐息も、すべてが尊い。
 見慣れたホテルの一室も、今夜は聖なる地へと変化する。
 遠い昔、未だに人の罪を負い続けているあの救世主の生まれた夜。
 罪人が高みへと昇りつめることも、彼とならば可能なのだ。
「んッ……んんッ!……あッ…ああッ……アアア──ッ!」
「………高耶さん……っ」 
 やがてふたりして、奇跡の証を吐き出した。


◆ クリスマス 02 ◆  2009年12月24日 (木)

 男がふたり、汗だくになりながら必死に快楽を貪る姿というのは、端から見てどれほど滑稽に映るのだろう。
 今日、街ですれ違った恋人たちは皆、今頃ベッドの中で甘い時間を過ごしているはず。
 けれどいまの自分達は、世界中のどんな恋人たちよりも貪欲であるに違いなかった。
 体中を、汗なのか潤滑油なのか精液なのか、いずれにしてもいかがわしいもので湿らせて、高耶の喉はずっと甘いは声を洩らし続けている。
「…んッ………はッ……も……ムリだ……っ」
「……無理じゃない」
 直江は自分の腹の上で躊躇している高耶の腰を掴むと、一気に引き下ろした。
「アアアッ………!」
 これでもう何度目の挿入なのかもわからない。
 早く終わらせたくて一応自分で動こうとはしてみたものの、身体を支えるのがやっとの状態で、高耶は直江にしがみつくしかなかった。
「んッ………」
 求められて舌を絡ませていると、自らの体内で直江のモノが反応しているのが感じ取れる。
 性交渉における優位性はきっと、挿れるか挿れられるかではない。
 するか、されるか、だ。
 直江を下目遣いで見下ろしながら、高耶はそう思った。
 今ならきっと、羞恥を感じずに腰を振れるのに。
 そうして、男の顔の歪む様を笑ってやりたかった。
 いつも自分がされているように。
 けれど手足がやたらと重くてとてもやれそうにない。
 だから、動け、と命じてみた。
 すると直江は、高耶の言うがままに腰を突き上げ始めた。
「あッ……アアアッ……」
 優位を保ちたい高耶は、必死に直江を睨みつける。
 粘着質な卑猥音が、リズミカルに暗い部屋に響き渡っていた。
 遠い昔、どこかであの有名人が生まれた夜。
 慈悲深い"神の子"ならば、きっとこんな愚行も、愛故だと笑って赦してくれるだろう。
「んッ……んんッ!……あッ…ああッ……アアア──ッ!」
「………高耶さん……っ」
 やがてふたりして、欲望のなれの果てを吐き出した。


◆ クリスマス 01 ◆  2009年12月23日 (水)

『プレゼント?』
「せめて何か贈らせて下さい」
 年末はふたりとも多忙でとても会う時間が取れそうにない。
 次に会えるのは25日を過ぎてからになりそうだった。
 だからせめて、プレゼントだけでもイヴに合わせて届くよう手配したいと思ったのだが。
『なら、会いに来いよ』
「高耶さん」
『24日。一時間でもいいから』
 想定外の言葉に、思いがけず気持ちが昂る。
「………這ってでも行きます」
『待ってる』
 クリスマスが、目前に迫った日のことだった。


◆ ケンカ ◆  2009年12月22日 (火)

「おまえは全然わかってない」
「そんなことありませんよ」
「いいや、わかってない」
 きっかけは些細なことだったのに、高耶はすっかりへそを曲げてしまったようだ。
「じゃあ、どうすれば納得して貰えますか」
「"そうですねぇ"」
「……………なんですか。人の真似ですか」
「"さあ、どうでしょうねぇ"」
「……………」
「ほら。すげーむかつくだろ、この言いか───……っ!」
 直江が高耶の顎を掴んだ。
「少し黙って」
 嫌がる高耶を無理やり押さえつけて、唇を奪った。


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