◆ 誤解 04 ◆
2010年01月09日 (土)
「明日の仕事、何時からなんだ」
しばらく続いた無言の後で、高耶が言った。
それ次第で直江が松本を出なければならない時間が決まる。
けれどそれには既に対処済みだった。
「宿を取ってありますから」
「……平気なのか?」
「今日の休日出勤を理由に、無理やり休みを貰いました」
本当にかなり強引だったから、珍しく照弘に咎められてしまったが仕方が無い。
「あなたの事が心配だったので」
高耶は気まずそうに下を向いた。
「さっきのは………」
必死に言葉を選んでいるのが伝わってきて、次の言葉を待つ直江の心までもを真摯にさせた。
直江が思った以上に、高耶は思いつめていたのかもしれない。
「ちょっと苛ついてただけだ。別に本気で言った訳じゃない」
赤信号で車を停めた直江は、高耶の腕を掴んで顔を覗き込んだ。
「ちゃんと目を見て言ってください。本当に、本気じゃなかったかどうか」
「本当だ」
高耶のほうも真剣に直江の眼を覗き込んでくる。
「ちゃんと私を信用出来ますか?」
「信用してる……」
直江は、心持ち潤んだ黒い瞳や、ちいさく噛まれた唇をじっと見つめた。
そしてそれらには、信用の有無などまるでどうでもいいことだと思わせる効果があった。
つまり、理性を吹き飛ばすのに充分な威力があった。
高耶の腕を握る手が、無意識のうちに強くなる。
「信号」
そう注意されるまで、走行中であることすら頭から消えていた。
「……夕飯は?」
「食った」
「なら、部屋まで来ませんか」
「……ああ」
まだ浮かない顔をしている高耶の服を、直江はすでに心の内で脱がせ始めていた。
しばらく続いた無言の後で、高耶が言った。
それ次第で直江が松本を出なければならない時間が決まる。
けれどそれには既に対処済みだった。
「宿を取ってありますから」
「……平気なのか?」
「今日の休日出勤を理由に、無理やり休みを貰いました」
本当にかなり強引だったから、珍しく照弘に咎められてしまったが仕方が無い。
「あなたの事が心配だったので」
高耶は気まずそうに下を向いた。
「さっきのは………」
必死に言葉を選んでいるのが伝わってきて、次の言葉を待つ直江の心までもを真摯にさせた。
直江が思った以上に、高耶は思いつめていたのかもしれない。
「ちょっと苛ついてただけだ。別に本気で言った訳じゃない」
赤信号で車を停めた直江は、高耶の腕を掴んで顔を覗き込んだ。
「ちゃんと目を見て言ってください。本当に、本気じゃなかったかどうか」
「本当だ」
高耶のほうも真剣に直江の眼を覗き込んでくる。
「ちゃんと私を信用出来ますか?」
「信用してる……」
直江は、心持ち潤んだ黒い瞳や、ちいさく噛まれた唇をじっと見つめた。
そしてそれらには、信用の有無などまるでどうでもいいことだと思わせる効果があった。
つまり、理性を吹き飛ばすのに充分な威力があった。
高耶の腕を握る手が、無意識のうちに強くなる。
「信号」
そう注意されるまで、走行中であることすら頭から消えていた。
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「食った」
「なら、部屋まで来ませんか」
「……ああ」
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