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◆ ひさしぶり ◆  2009年12月21日 (月)

 帰宅した直江は高耶が来ているとわかっていたから、チャイムを押してみると玄関まで出てきてくれた。
「飯、できてんぜ」
「あなたは?」
「まだ」
「じゃあ、一緒に食べましょう」
 ネクタイを緩めつつ、ダイニングへと向かう。
「二週間振りですね」
「そうだっけ」
 高耶はバイトが忙しくて東京まで来ることが出来ず、直江も仕事が忙しくて松本まで行く時間が取れなかったのだ。
 前を歩く高耶の腕を掴んで振り返らせると、引き寄せた。
「ん………っ」
 言葉こそ素直ではないが、応える唇は素直でとてもよろしい。
「………やっぱりご飯は後にしましょう」
「………ああ」
 結局そのまま、寝室へとなだれ込んだ。
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◆ アレ 02 ◆  2009年12月20日 (日)

 風呂からあがった直江が寝室へ行ってみると、ベッドの上で漫画本を読んでいた高耶が何かを投げつけてきた。
 腹に当たって足元に落ちたそれを拾ってみると、"家族計画"の必需品がふたつ。
「色気もムードもあったもんじゃないですね」
 苦笑を浮かべてベッドに腰掛けた直江の言葉を聞いて、高耶は若干不機嫌になる。
「じゃあいい」
 その顔を見て、ああ、と直江は思う。
「照れ隠しだったんですね」
 図星だったらしい高耶は漫画本を閉じると、背を向けて横になってしまった。
「今日はなし」
「……またそんないじわるを言って」
 直江は高耶の隣に横になると、自分のほうへと抱き寄せた。


◆ アレ 01 ◆  2009年12月19日 (土)

 12ロール入りトイレットペーパーのパックをふたつ、手にした直江は夕飯の材料を買い込んできた高耶と合流した。
「アレ、買った?」
「何をです」
 高耶はスーパー、直江はドラッグストアと分担して買い物を済ませる作戦だったのだが。
「アレだよ、アレ」
「………?」
 言われた通りにトイレットペーパーは買ったし、ティッシュペーパーもラップもちゃんと特売じゃないことをチェックしたし……。
 高耶の教育のお陰ですっかり主婦感覚の直江は、他に何かあったかと考えてみても思いつかない。
「昨日で使い切っただろ」
 そう言われてやっと思い出す。
「………ああ」
 いわゆる"家族計画"に必要なアレだ。
 本来自分達には必要ないものではあるが、一応エチケットで使うようにしている。
「一緒に選びます?」
「ばか、できるわけねーだろ」 
 両手の塞がっていた高耶は、足で直江の尻を追いやった。


◆ あずさ 02 ◆  2009年12月18日 (金)

  ……による事故の影響のため……
   ……一時運転を見合わせております……

 高耶と直江は思わず顔を見合わせた。
「だとさ」
「困りましたね。一度車に戻りますか?」
「……いつ運転が再開するかわかんねーだろ」
 車に戻るなど、魂胆が見え見えだ。
「いいから、おまえは帰れよ」
「そういう訳には行きませんよ」
 結局、直江を追い返しきれずにふたり並んでホームで待つことになった。 
 ふと見ると、ため息をつく人々の中で妙に嬉しそうなカップルがいる。
 彼らもきっと遠距離恋愛中で、ふたりでいる時間がわずかでも増えたことが嬉しいのだろう。
(彼ら"も"?………いやいや、オレらは違うだろ)
 傍らの直江を仰ぎ見ると、カップル達に決して負けない笑顔でにっこりと微笑まれてしまった。


◆ あずさ 01 ◆  2009年12月17日 (木)

「ん………」
 薄暗いウィンダムの車内で、高耶は直江に唇を奪われていた。
 高耶があずさで帰るとき、直江はいつも新宿駅まで送ってくれる。
 しかもわざわざ駐車場に車を停め、ホームまでついてくるのだ。
 だからなるべくホームにいる時間を短くするために、発車ぎりぎりまで車に留まるのだが。
「………あと3分」
 直江が言った。
 あと3分で車を降りなければ、予定している便に乗り遅れてしまう。
 今度は高耶から、直江の唇を奪いにいく。
「ん……ッ………」
「………あと2分」
 カウントダウンが進む度、便を一本遅らせたい衝動を必死に抑えるふたりだった。


◆ 午後 01 ◆  2009年12月16日 (水)

 とある週末の午後。
 高耶が勉強に飽きてしまったようなので、休憩と称してDVD鑑賞をすることにした。
 映画といえば古いものばかりの直江と、新作コーナー以外にあまり興味のない高耶とではなかなか趣味が合わないのだが、70年代の映画のリメイク版を新作でみつけて、観てみることにしたのだ。
 DVDをセットする直江を尻目に、ソファに座った高耶は始まる前からスナック菓子をパクついている。
 隣に腰掛けた直江が高耶の身体を自分のほうへ引き寄せると、一瞬強張った身体がぎこちなく寄りかかってきた。


◆ 午前 01 ◆  2009年12月15日 (火)

 とある週末の午前中。
 試験の近い高耶は教科書へと向かっていたが、先程からあくびがとまらない。
 自分も仕事をこなしてしまおうとPC画面へ向かっていた直江は、高耶に声をかけた。
「眠いですか」
「……平気」
 昨夜、直江が仕事から帰ったのが21時過ぎ。
 高耶の作った夕飯をふたりで食べ、風呂に入ったり何なりでベッドに入った頃には日付が変わっていた。
 その後、高耶を眠らしてやれたのは多分明け方近かったと思う。
「昨日はちょっとがんばりすぎましたね」
 直江がそう言うと、聞こえているはずの高耶は無言のまま問題を解くのに没頭した振りをしている。
 苦笑いでPCへの打ち込みへと戻った直江の耳には、それからかなり経った後で、
「別に平気だから」
と小さな声が聞こえてきた。


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