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◆ 午後 04 ◆  2010年01月04日 (月)

 とある週末の午後。というか夜。
 直江が松本へやってきた際によく利用するいつもの店へ、ふたりは向かっていた。
「明朝の仕事の調整がついたので、今日はこちらに泊まることにしました」
 今夜は食事だけして帰ると言っていたのに、すでに定宿の部屋まで確保したそうだ。
「そっか」
「ええ」
 ………妙な間を置いて。
「オレは泊まらねーぜ?今日は帰んねーと」
「わかってます」
 ………また、妙な間を置いて。
「でも部屋には来るでしょう?」
 当たり前のように言う直江が、高耶はなんだかしゃくに触った。
 それなのに、
「さあな」
 "いかない"とは言い切れない自分が、少しだけ情けなかった。 
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◆ 午後 03 ◆  2010年01月03日 (日)

 とある週末の午後。
 夜になったら、高耶は松本に帰らなくてはならない。
「夕飯、食べていきますか?」
「ああ」
 仰向けに寝転がって本を読む直江の腹を枕に、高耶も漫画本を手に横になっていた。
「たまには外で食べます?」
「………いい」
 ごろっと横向きになって、高耶の頭が胸元へとやってきた。
 読みかけの漫画本を床に伏せると、手で直江の手中の本をつい、と横にやる。
「なあ」
「………はい?」
 "なあ"の意味がわからない振りをして焦らしてやろうと思ったのに、ばっちりと目が合ってしまった。
 見つめてくる高耶の目つきに抑えがきかなくなってその身体を引き寄せたら、珍しく高耶のほうから馬乗りになってきた。


◆ 午前 03 ◆  2010年01月02日 (土)

 とある週末の午前中。
「眠いですか」
「………ちょっと」
 クッションを枕に仰向けに寝転がって仕事の資料に目を通している直江の腹を枕に、高耶も横になっていた。
 手にした雑誌が今にも手から落ちそうだ。
「ベッドにいきますか?」
「いい」
 高耶が腹に頭を乗せたままごろっと背を向けたから、ちょうど下腹部に頭が乗るかたちとなった。
「高耶さん」
「ん?」
「もうちょっと下」
───……」
 高耶の動きが一瞬止まって、てっきり怒られるものと思ったのだが。
  ジィ~~~
 おもむろに直江のズボンのチャックが下げられる。
「いやいやいや冗談ですって」
 直江は慌てて起き上がり、高耶の手を掴んだ。


◆ 年明け ◆  2010年01月01日 (金)

  3、2、1 ─── Happy New Year!!

「明けましておめでとうございます」
『おめでとう』
 高耶の多少ぶっきらぼうな声が聞こえてくる。
『じゃあ、あさってな』
 と、用は済んだとばかりにさっさと切ろうとする高耶を慌てて引き止めた。
 確かに明後日には会えるのだが、もうちょっと話をしていたい。
「いま、今年の抱負を決めました」
『………なんだよ』
 一応、周囲に人影がないか視線を走らせた後で、
「去年より多くあなたを抱きます」
 かなり真剣にそう言ったら、
『そんなの、余裕だろ』
と、笑われてしまった。


◆ 大晦日 02 ◆  2009年12月31日 (木)

『こんばんわ』
 高耶の予想通り、電話は直江からのものだった。
「いいのかよ。電話なんかしてて」
 きっといま、一番忙しいというか、重要な時間帯なのではないだろうか?
『特別な瞬間はあなたと共有したいんです』
 こういうところはまるで変わっていない。
 昔から、年中行事は欠かさない男だった。
「ったく………」
 受話器越しの除夜の鐘の音を聞きながら、お決まりの挨拶なんかを交わしていると、
『高耶さん』
 直江の声のトーンが少しだけ下がった。
「ん?」
『早く、あなたに会いたい』
「………わかってる」
『あ、あと10秒ですよ』
 すぐに普通に戻ってしまった直江の声を聞きながら、最後の最後くらい素直に"オレも"と言ってやればよかったかもしれないと、高耶は年内最後の後悔をした。


◆ 大晦日 01 ◆  2009年12月30日 (水)

 12月31日、大晦日。
 夕方までバイトだった高耶は夕食後、やり途中だった大掃除に再び手をつけていた。
「おにいちゃーん、もういいよー」
「おう、あとちょっと……」
 やりだすと止まらない換気扇の汚れ落としに熱中していた高耶は、美弥の声にもうわの空で答える。
 明日も早い時間からバイトだ。
 明後日は東京へ出向く予定だから、今日やらなければきっと来年の大掃除までやらない気がする。
 けれど大晦日になってまで家事をしている自分の苦労症にだんだん嫌気がさしてきて、キリのいいところで終わらせることにした。
「美弥、見てみろよ」
「うわぁっ、すごいっ!新品みたいっ♪」
 褒めてもらったことで機嫌を良くし、掃除用具を片付けて手を洗っていると、タイミングよく電話が鳴り出した。
 年の変わる10分前。
 何かの予感がして、高耶は手を拭きつつ電話へと走った。


◆ 午後 02 ◆  2009年12月29日 (火)

 とある週末の午後。
 今日は朝からしとしとと雨が降っている。
「たまにはどこか出かけますか?」
「………ん?」
 直江の膝に頭を乗せて、高耶は目を閉じていた。
「眠たいんですか」
 直江の苦笑顔が、あれだけ寝たのにと言っている。
「雨の日は眠いんだ」
「………まるで猫ですね」
 髪を梳いてやりながら、そのうち喉でも鳴らし始めるのではないかと疑う直江だった。


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