◆ バレンタイン その5 ◆
2010年02月14日 (日)
明け方。
「これじゃいつもと変わらない」
脱がされてしまったチョコレートTシャツをようやく身に着けて、高耶は直江の隣に横になった。
「いいんですよ、これで」
高耶の髪を手で梳きながら、直江は言う。
「バレンタインデーというのはそもそも、聖バレンティヌスにちなんで恋人たちの日となった訳ですけど、常日頃から愛を確認しあっているふたりなら、いつもと同じで当たり前なんです」
「………」
いつもなら斜めに捉えてしまう言葉も、今日は何だかストレートに心に入ってくる。
(愛の確認か……)
直江はともかく、自分が日常において想いを伝えたことなんてあっただろうか。
「直江」
「はい?」
「愛してる」
瞬間、直江の手が動くのを止めた。
「………高耶さん」
言った後でやっぱり気まずくなってきて、布団を上のほうまで引っ張りあげる。
「私も、あい────」
「いい。知ってるから」
直江の言葉を強引に制して、高耶はおやすみ、と瞳を閉じた。
その後も、直江はしばらく高耶の言葉に浸っているようだったが、そのうちに髪を梳く手がゆっくりと動き出す。
「私だって知っていましたよ。もうずっと昔から」
独り言のような直江の言葉を聞きながら、高耶は感情を素直に伝えられる幸福をかみしめた。
「これじゃいつもと変わらない」
脱がされてしまったチョコレートTシャツをようやく身に着けて、高耶は直江の隣に横になった。
「いいんですよ、これで」
高耶の髪を手で梳きながら、直江は言う。
「バレンタインデーというのはそもそも、聖バレンティヌスにちなんで恋人たちの日となった訳ですけど、常日頃から愛を確認しあっているふたりなら、いつもと同じで当たり前なんです」
「………」
いつもなら斜めに捉えてしまう言葉も、今日は何だかストレートに心に入ってくる。
(愛の確認か……)
直江はともかく、自分が日常において想いを伝えたことなんてあっただろうか。
「直江」
「はい?」
「愛してる」
瞬間、直江の手が動くのを止めた。
「………高耶さん」
言った後でやっぱり気まずくなってきて、布団を上のほうまで引っ張りあげる。
「私も、あい────」
「いい。知ってるから」
直江の言葉を強引に制して、高耶はおやすみ、と瞳を閉じた。
その後も、直江はしばらく高耶の言葉に浸っているようだったが、そのうちに髪を梳く手がゆっくりと動き出す。
「私だって知っていましたよ。もうずっと昔から」
独り言のような直江の言葉を聞きながら、高耶は感情を素直に伝えられる幸福をかみしめた。
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