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『 誤解 03 』≪≪    ≫≫『 誤解 01 』

◆ 誤解 02 ◆  2010年01月07日 (木)

 休日出勤を終えていつもより早い時間に帰宅した直江は、上着を脱ぎながら夕飯をどうするかと考えていた。
 本当ならこの場にいて欲しかった高耶は、最近バイト先で昇格したとかで簡単に休めない立場になってしまったようだ。自分も今は大きな仕事を抱えていて、東京を離れる時間が持てない。
 週末はふたりで過ごすことが当たり前のようになっていたから、ひとりだとどうしても寂しい気持ちになってしまう。
 とそこへ、携帯電話が鳴り出した。
 画面には"仰木高耶"の文字。
「いま終わった」
 バイトの終了報告だった。 
 高耶から、しかも電話でなど珍しい。
 自分と会えないことで多少は寂しい思いをしてくれているのだろうかと思うと、笑みが浮かんでしまう。
「お疲れ様でした」
 声だけしか聞けないと思うと、ますます会いたくなった。
「次の土曜が待ち遠しいですね」
 来週末はやっとふたりとも休みが取れて、会えることになっている。
 けれど。
「…………」
 返事が無く、なんだか高耶の様子がおかしい。
「高耶さ──
「女呼ぼうとしてただろ」
 唐突に考えもしていなかったことを言われて、すぐに否定できなかった。
「………まさか」
 答えるまでに変な間があいてしまって、明らかに怪しく聞こえたはずだ。
 きつくなる高耶の視線が、電話の向こう側に見えた。
「やるんなら、オレにわからないようにやれ」
「高耶さん!」
 こちらが反論する前に、電話を切られてしまった。
「……………」
 高耶がナーバスになっているのは、やはりしばらく会えていないせいだろう。
 きっと不安になのだ。
 直江は小さくため息を吐くと、電話を置いた。
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